――――――――【超不機嫌な朝方】―――――――――




望む事を止めれば傷つく事も無くなるのだと学習した。

けれど、アンタを失うくらいなら傷ついたって良いとさえ思う。

嗚呼、人間って奴ぁなんて不自由なんだろう。





何時ごろからかはもう忘れたけれど結構前から常備する用になった睡眠薬。
今ではコレが無いとまどろむ事すら出来ない。
…吐き気が消えない。眠れない。
おかしいな…今日はあんなにたくさん薬を飲んだのに効かないみたい、だ。
薄ら明るい空がカーテンの隙間から垣間見れた。
肌寒い空気が頬を撫で、背筋を這う奇妙な感覚に身震いする。
もうこれ以上ベッドに居ても眠れない気がして徐に這い出ると台所へ向かう。
その途中で冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを手に、
戸棚に収納してある小振りなピルケースを探す。
様々な色形をした薬の内、青い小さな粒を一つ手に取ると口に押し込んだ。
追って流し込んだミネラルウォーターが粒を緩やかに喉の奥へと運ぶ。
心地よい冷たさに幾らか飲み下し、今度こそ薬が効いてくれる事を願った。



こんな眠れない夜には、アイツが隣に居てくれたらと切に思う。




時計を見ると時は既に朝方近く、四時を差していた。
寝苦しいまでの吐き気に軽い眩暈をも覚えつつ、ふらふらとした足取りで再度ベッドへと向かう。
…アイツは、もう此処には来ないんだっけか。
昨夜ちょっとした誤解からアイツを泣かせてしまった事を思い出す。
あの時素直に自分が折れてさえ居れば、こんな事にはならなかったのだろうか。
裏の仕事を終えて帰ってきた直後の事だったから気が立っていたのだろう。
…後悔しても仕切れネェよ、な…





飛び出していったアイツの横顔が浮かび、吐き気が更に増した気がした。





→next

――――――――――――――――++

降りしきる雨に身を投じよう。
避ける事なんてしない。ありのままを受け止めよう。
              
              12.21  七弦
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送