――――――――【無題】Cohabitation/2―――――――――


…―慧side―…

昨晩は寝る場所でアイツとモメてしまった。
結局一つしか無いベッドをアイツに譲り、俺はソファで寝た所為で
只でさえ疲れきった体はまどろみに身を任せ深い眠りに付いた。
こんなに熟睡できたのは俺にしては珍しいけれど、
久々に人とこんなに会話をしたからかもしれない。
仕事柄あまり馴れ合いを好まない俺が
此処まで興味をひかれたのは久しぶりだ。

「…んー…?」

カーテンから差し込む明りが、現実の世界へと連れ戻した。
まだ頭がぼうっとしている。
起き抜けに軽く顔を顰めると、重たく項垂れる体を起こした。

何か、幸せな夢を見ていた気がする。




眠気を覚まそうと伸びをする。
ふとベッドを見ると、まだ等分は夢の中であろう喜市が
もぞもぞと毛布に包まっていた。
優しく起こしてやるか…あるいは驚かせるか?
そんな事をしばらく考えた後、とりあえず空腹を満たそうと
足音をたてないように台所へ向かう。

「…何も入ってねぇでやんの」


何か美味いモンでも作ってやろうと思って。
アイツがどんな顔すんのかなとか、ちょっと楽しみだったのに
台所で発見できたのは数種類のサプリメントと冷凍食品だけ。
…待てよ、もっと他にもっとあンだろ?新鮮な野菜とか肉とかさぁ。

「アイツどうやって生きてんだよー…」

こんなにも食材が無さ過ぎるとは思わなかった。
飲み物だってペットボトルのお茶以外は缶ビールしか入ってない。
棚を漁れば、大量のカップ麺。
コレか。アイツの食料源は。


仕方ない。





「…きぃ…おい…起きろ!喜市!!」


まだ重そうな瞼を擦り、
眠たそうに見上げてくる喜市の布団を
力いっぱいひっぺがした。

「ぁにすンだ…よっ!」
「買出し行くぞ」


「…は?」


寝癖がついた赤い髪を掻きつつ
気の抜けた声を出す喜市をよそに
櫛やらドライヤーやら着替えやらを用意する。
甲斐甲斐しいまでの自分の世話好きさに泣けてくるぜ。

「ほら、早く着替えろよ。どうせ今日オフなんだろ?」
「何でお前が俺のオフを知ってる…」

寝ぼけ顔で睨みをきかされても怖くもなんとも無い。

「どうだって良いだろンな事。オラさっさと其処どけ」

喜市の寝ていたベッドを整え、財布を持つ。
予想外の出費になりそうだが仕方ない。
これも好感度アップの為だ。


「用意できたか?」
「―…ン。何か納得いかねぇ…」

まだ何か言いたそうな喜市を無視しつつとりあえず出発。
ぁ、コレって初でぇと?とか思っちまった俺は馬鹿なんだろうか。




これからの生活と俺の所持金に不安を覚えた、初日の朝。






TO BE...?



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まだ完結出来ませんです。
…おかしいな、二編で終わるはずだったのにorz

              
              11.1  七弦
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