――――――――【無題】Summer vacation――――――――


暑い…


クーラーなんていう文明の利器はこの部屋には無い。
外から聞こえる蝉の鳴き声は、情緒なんてモンを蹴っ飛ばし
ジリジリと照りつける太陽と相成って只の雑音でしかない。

幸い今日は仕事も休みだ

一日ゆっくりできると思ったのも束の間。
うだる様なこの暑さの中じゃ元気よく外に繰り出す程
前向き思考にもなれやしない。


「お昼ご飯、できましたよ」

台所からマコトが顔を出した。
今日は冷麦だと言っていたけれど食べる気なんて起きやしない。

「…あぢぃ…」

「…Kさんったら…夏バテですか?」

笑いながらマコトが顔を覗き込んできた。
いつもなら此処で抱き寄せて、エプロン姿の愛しい人に
キスの一つでも仕掛けるんだが。

この暑さじゃ立ち上がる事すらままならない。

…かっこ悪ぃ。

「なぁ、マコト」

「何ですか?」

「食べさせてv」

軽く口を開け、あーんと言ってみる。
もちろんしてくれるハズは無く、マコトは台所へ戻ってしまった。

「もう。何言ってんですか!仕方ない…デザートに西瓜もつけます」

「マジ?」

西瓜に釣られて勢いよく起き上がる。
テーブルに並べられた冷麦と西瓜に、少しは食欲がわいたかもしれない。
マコトの向かいに座り、

「いただきまス」

「どうぞ」



その後、一緒にTV見たり、ごろごろしたりして
休みを過ごしたけれど、まぁ充実していたと思う。
何より マコトが傍に居たから。


「ちょっとは涼しくなりました?」

食器を片付けながらマコトが笑った。

「んー…まだ動く気しねぇ」


幾分、日も陰り風も出てきた。
パタパタと駆け寄るマコトの手には

「じゃーん!! 見てくださいよ、コレ」


花火と風鈴。


窓に取り付けられた風鈴が涼しげな音を奏でる。
透明なガラスに描かれていたのは幸せそうに寄り添う二匹の金魚。
風に揺られ、泳いでいるかの様だ。

「風流じゃねぇか」

「後で花火もやりましょうね」

「ああ」


それから、と徐にKKの隣に座り込むと、
マコトは自分の膝を叩きKKを促す。

「…膝枕ってか?」

「Kさん、結局今日眠れなかったんでしょう?」


図星である。
だらだらと寝ようとしていたのは確かだが、
この暑さの中、結局一睡もできなかったのだ。

「んじゃま、お言葉に甘えて」

「はいv」





西瓜に風鈴に蚊取り線香。

花火の明かりに照らされて、

微笑む君が隣に居るなら


今年の夏も乗り切れそうだ。



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この二人はバカップルだと良いw
人目憚らずいちゃいちゃするが良いよ(何

           8.9 七弦

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